第44章 〜44〜番外編③
「……もう少し俺を頼ってくれ」
「……え……」
「お前は1人で背負い込んでどうにかしようとする。その度に俺はお前を支えきれて無いんじゃないかって不安になる」
「そんな……そんなことない。政宗にはいつも助けられてるよ……ただ、迷惑掛けたくなくて……」
「お前になら迷惑かけられても構わない。頼られない方が悲しい。」
「政宗……」
「俺は……お前を閉じ込めておけるのならそうしたいぐらい大事に思ってる。でも、それじゃあお前はお前らしく生きられないだろ」
「……うん……」
「お前には、この時代で楽しく生きてて欲しい。泣いたり苦しんだりしてるお前を見るのは辛い。」
「うん……」
政宗は私の身体をすっと離した。
「人の為に動けるのは、確かにお前のいい所だ」
「うん……」
「だが、逆にそれが短所でもあると俺は思う」
「短所……?」
「今回は、少しでもどうにかしてやりたくて東雲に会いに行ったんだろ?」
「うん……」
「この乱世には、どうにかしたくても、どうにもならない事ばかりだ。その一つ一つにぶつかってたら、お前がいつか潰れるぞ」
「……そんな、何もかも自分がどうにか出来るなんて思わないよ……思ってたら今すぐ戦を辞めさせるもん……」
「……それもそうだな」
「ただ、自分の周りの人達には……笑ってて欲しいの……」
「……」
「だから、東雲さんともちゃんとお別れしたかったし、襲われる……までは普通に友達みたいに話せてたし……人としてはいい人だと思ったから……」
「全く……お人好しだな、お前は」
「……そんなに駄目かな、お人好し……」
「駄目じゃない。ただ、度が過ぎると、身を滅ぼすぞ」
「……気をつける」
「そうしろ。」
私の頭を優しく撫でながら政宗はやっと微笑んでくれた。
その顔を見て不安が消えていくのを感じて、ほっとして涙が溢れてきた。