第44章 〜44〜番外編③
照月の頭を優しく撫でると、照月は目を覚ましたのか私の手に擦り寄った。
「ふふ」
照月がお腹の上で動いて、目が覚めたのか政宗が起き上がる。
それに驚いたのか照月は走り去ってしまった。
「んー……終わったのか」
「うん。待たせてごめんね」
「いや……」
政宗は腕を上げて伸びをして、その流れで私を抱き締めた。
「……俺がいるからって、ずっと俺に構わなくてもいい」
「……そう?」
「ああ。お互いが自由にしてる空間って、なんか心地いいからな」
「……そうかも」
私も政宗を抱き返しながら微笑む。
「よし、じゃあそろそろ始めるか」
「ん、何を?」
「家康と優鞠呼んで、俺の御殿で夕餉食うぞ」
「え、ほんと?」
「ああ、さっき家康と会って話つけといた」
「楽しそう……」
「だろ?買い出し行くからお前も付き合え」
「もちろん」
城下へと買い出しに行き、夕餉の材料を買って御殿へと戻り一緒に台所に並んで料理をする。
(なんか新婚みたい……楽しいな)
料理の完成が近づいて、家康達を呼んでこいと政宗に言われて御殿を出た。
(……今頃東雲さんは宴かな……)
ふと、明日の朝の事を思い出してしまった。
(もし、私が行かなかったら……東雲さんの機嫌損ねて、来年信長様が城に呼んだのに来ないとか、そんなことになったら困るしな……)
東雲さんと会う身の危険よりも、光秀さんにバレて怒られる事への恐怖が上回る。
でも、それより自分のせいで遊女屋との繋がりが切れる事の方が怖かった。
(私のせいで、皆の楽しみ奪う訳には行かないからね……。誰にも言わずにこっそり行って、すぐに部屋を出れば大丈夫……)
そう考えながら家康の御殿へと向かった。