第44章 〜44〜番外編③
「……いいな、こういうのも」
「そうだね……」
2人で空を見上げて黙り込む。
特別、言葉を交わさなくても隣に居るだけで気が休まる。
そんな相手と巡り会えた事が嬉しくてたまらない。
「政宗……」
「んー」
「今日、お休み取ってくれてありがとね」
「別にお前の為じゃない」
「え?」
「俺がお前と過ごしたかったからな」
「……ふふ、結果的に私が嬉しいから、ありがとう」
「ああ」
「……昨日からずっと一緒にいれて嬉しいなぁ……」
「すぐにでも俺の御殿に越して来ていいんだぞ」
「……それは駄目」
「何故だ」
「……何となく」
「…………」
政宗の顔を見上げると、拗ねたような顔で私を見つめる。
「ったく……。ま、いつか掻っ攫うからな」
「ふふ、待ってる。」
多分、今一緒に暮らしてしまうと一生そのままだ。
それもすごく幸せなことだけど、昨日みたいに外で待ち合わせしたり、会えない時間に政宗の事を考える時間が私は好きだった。
それに、城を出るなら信長様の許可も取らなければいけない。
城で女中としてもっと自分に出来る仕事を頑張りたいし、今はこのままでも充分幸せだった。
そして多分政宗も私がそう思ってることに気がついてるからこそ、無理に一緒に住もうとは言わないでいてくれている気がしていた。