第43章 〜43〜番外編②
「いらっしゃいませ、政宗様」
宿へと入ると、女将さんに出迎えられた。
「突然悪いな、部屋はあるか」
「ええ、もちろんでございます。どうぞこちらへ」
「ああ、頼む」
案内されて部屋へ入ると、豪華な小物や家具が置かれた広い部屋だった。
「うわぁ、すごい」
「良い部屋だな」
「ね!」
「ありがとうございます。申し訳ありませんが、お食事まで時間を頂きます。その間に良ければ湯浴みは如何でしょうか」
「ああ、そうするか」
「うん」
女将さんの案内でお風呂へと向かい、政宗と別れて女湯へと進む。
着物を脱いで、お風呂場へと入るとお城のお風呂より広い湯船が見えた。
「……わぁ……テンション上がる……」
私は身体を洗って湯船に入ると、気持ち良くてつい言葉が出てしまった。
「ふぅ……幸せだなぁ……」
ゆったりとしながら昨日からの事を思い出していた。
(東雲さんは……何を考えているんだろう……)
女の子と手を繋いで歩くなんて、多分幼稚園とか子供の時以来だったと思う。
別にそれが嫌な訳ではないが、今日すれ違う人にじろじろと見られたりしたので、まぁ珍しく思えたんだと思った。
(……友達になりたいのかな……花魁やってると、普通の女友達作るの難しいのかな……それなら別に大歓迎なんだけど……)
それにしては光秀さんの態度が気になる。
(怒ってる……のかな……何でだろ?東雲さんと相性悪いのかな。まあ、東雲さんも飄々としてるから……同族嫌悪……?)
だとしても、あんに不機嫌になるものだろうか。
(でも……東雲さん……茶屋で……私に口付けようとした……?)
迫り来る美しい顔に困惑した事を思い出す。
(……雰囲気的には……そんな感じしたけど……でも私に……?いやいや、それは無いでしょ……花魁じゃない女が珍しいだけだよね。うん、深い意味はないって)
そう思い立って湯船から上がる。
気にはなるが、今は政宗との時間を楽しもうと考えを打ち消した。