第43章 〜43〜番外編②
政宗と食事をして、手を繋いで市を回る。
何も予定を決めずにこうして歩いているだけでとても幸せに思えて、政宗をちらっと横目でみると、不意に目が合った。
「どうした?見たい店でもあったか?」
「ううん。なんでもないの。ただね、幸せだなぁって」
「ふ、俺も同じこと考えてた」
「ほんと?」
「ああ、こういう何気ない時間っていいよな」
「ふふ、そうだね」
気が付けば空は茜色に染まってきた。
そろそろ帰る時間かと思って少し寂しくなってしまった。
そんな私に気が付いたのか、政宗は立ち止まった。
「日が暮れてきたな」
「そうだね……」
「このまま帰らないって選択肢もあるが、どうする?」
「え……」
「明日は休みを取った。お前と過ごすためにな」
「ほんと?嬉しい」
私が笑うと、政宗も嬉しそうに笑った。
「よし、宿取るか」
「……うん。(御殿以外で一緒に泊まるのは初めてだな……)」
わくわくしながら、政宗に手を引かれて歩き出す。
そして安土の町の外れの山が良く見える、景色がいい宿に泊まることになった。