第43章 〜43〜番外編②
今日何度目かわからない私の頬を撫でる仕草にもどこか慣れてしまった。
政宗とは違う華奢な手で、するりと撫で回されて、気がつくと自然に東雲さんの顔が近づいてきた。
「……ちょ、東雲さん……」
私が慌てて身体を離そうとすると、すっと二人の間に手が伸びてきた。
「東雲」
「あ、光秀さん……(また光秀さん……)」
「……もう。安土の姫は護衛が固いのね」
東雲さんは肩を竦めて私から身体を離した。
「昨日の忠告を忘れたか」
「いいえ?」
東雲さんはあっけらかんと答える。
光秀さんは眉間に皺を寄せて東雲さんを見た。
「…………」
「まぁ、睨まないで頂ける?」
「あの……光秀さん?」
私が呼び掛けると、光秀さんは眉間に皺を寄せたまま私を見た。
(うわぁ……不機嫌そう……)
私が光秀さんの表情に凍り付いていると、待ちわびていた声が聞こえた。
「どうしたんだお前ら」
「政宗……」
「なんでもない。東雲、そろそろ支度に入る時間だろう。城まで送る。」
「……それはどうも」
東雲さん渋々と言った表情で立ち上がる。
「ちゃん、またね」
そう私に微笑みかけて東雲さんは城へと戻っていく。
「どういうことだ?」
「……詳しくは気にするな。だが、あいつの行動には気を付けておけ」
「あいつ、信長様に付いてた花魁だろ?」
「ああ」
「意味がわからねぇ」
「お前は分からなくても、の方は身に染みたようだが?」
「……うーん……」
「まあ、精々気を付けろ。忠告はした。」
光秀さんはそう言うと、東雲さんが歩いて行った方へと去っていった。