第43章 〜43〜番外編②
「いい天気……」
外に出て空を見ると、暖かな日差しが降り注いでいて気持ちのいい陽気だった。
ふらふらと当ても無く城下を歩いていると、前から何処かで見た事があるような無いような……
そんな女の人が歩いて来るのがふと目に入った。
その人は私が見ていたことに気がつくと、嬉しそうに駆け寄ってきた。
(知り合い……?女中……じゃないし……あんな美人の知り合い居たかな……誰だっけ……)
「こんにちは、可愛いお嬢さん」
「お嬢さん……って、もしかして昨日の……」
「ふふ。そう、東雲よ」
「東雲さん……(オフでもこんなに綺麗とか……)」
私が柔らかく微笑む東雲さんに少し見とれていると、昨日と同じように手を取られた。
「お嬢さん、お名前を聞いてもいいかしら?昨日は邪魔が入ってしまったから……」
「あぁ、です……(邪魔って光秀さんのこと……?私じゃなくて?)」
東雲さんの真意が分からなくて、少しだけ身構えてしまう。
「ちゃんね、そんなに警戒しないで?寂しいわ」
「いや、あの……こんな所でお1人でどうされたんですか?」
「散歩に来たの。折角京から来たのに、閉じこもってるのもつまらなくて。他の子達は昨日の疲れを癒す為にまだ寝てるわ。」
「あ……(そっか……今休まないと昼からまた宴だからね……でも……)」
「ん?どうかしたかしら?」
「東雲さんはお身体大丈夫ですか?」
「え?」
「いや、お疲れじゃないのかなって……」
「優しい子ね……花魁を気遣うなんて……」
東雲さんはそう言うと、私の手を撫で回す。
「……同じ女性ですから……(手……擽ったい……)」
「ふふ、そうね。でも私は大丈夫。ふらりと散歩に出てみたら、可愛い子に出会えたからね」
「へ……?」
「ねぇ」
「はい……」
「もしよければ……安土の町を案内してくれない?」
東雲さんは綺麗に微笑んで私を見つめてくる。
「えっと……昼前に待ち合わせをしてるので……それまでで良ければ」
「まあ、ほんと?私も昼前には支度を始めなきゃならないから、丁度いいわ」
「あ、ですね」
「じゃあ……お願いしても……?」
東雲さんは私の頬を優しく触って、色気のある目線で私に言ってきた。