第42章 〜42〜番外編①
「え、なんで?どうしたの?」
「……お前が気になって宴が楽しめなかったから帰ってきた」
真顔でそう言われて、不安だった気持ちが急激に膨れ上がる感覚がした。
「……ごめん……邪魔だったよね……行かなきゃ良かった……私もう帰る」
泣きそうになるのを堪えながら立ち上がり、政宗の横を通り過ぎようとすると、腕を引かれて背中から抱き締められた。
「……ったく、なんでも真に受けるな」
「……政宗が怒ってるから……」
「そりゃあな、あんな場所に好きな女が居たら誰だって怒る」
「だって……」
「ん?反論があるなら言ってみろ」
「花魁……見てみたかったんだもん」
「はぁ?」
政宗は身体を離して私の顔を見た。
「……1度でいいから見てみたかったの!政宗だって……楽しそうに女の子と話してたじゃない……それ見て……私がどんな気持ちになったか……」
「どんな気持ちだ?」
「……え?」
「教えろ。どんな気持ちだ?」
真顔で問い詰められて、胸がぎゅっと苦しくなった。
「……すっごい嫌だった……私じゃない女の人が政宗に触れるの……」
「へぇ……」
「政宗が……浮気するなんて思ってない。信じてる。でも……嫌だったの……我が儘なのも分かってるけど……」
溢れ出た涙と一緒に心にあった不安が流れ出す。
「政宗に……触れていいのは……私だけなのに……」
そう小声で呟くと、顎を引かれて口付けられた。
「……っん……んんっ……」
角度を変えて何度も唇を啄まれ、息が出来ず苦しくなって、政宗の胸を軽く叩いた。
「……っはぁ……」
「悪かったな、不安にさせて」
「政宗……」
「でも、花魁のいる宴に行くのをお前が止めないから悪いんだぞ」
「……え?」
私が思わず顔を上げて、政宗の顔を見つめると、頬をつままれる。
「い、いひゃい……」
「俺がどんな思いで、嫌々宴に顔出したと思ってる」
「……え?(どういうこと?)」
政宗は怒った顔で私を見る。
「いつまで待っても、お前が俺に行くなって言いに来ないから……お前は俺がああいう宴に出ても平気なのか?」
私が小さく首を降ると、つまんでいた頬を離してそっと撫でられた。