第42章 〜42〜番外編①
(……やっぱり秀吉さんの言う通り……行かなきゃ良かったかな……浮気なんてして無いのに、こんな気持ち持たれて政宗も迷惑だよね……)
膨らむ不安に耐えきれなくなり、つい足が止まる。
「はぁ……会いたい……。あ、そうだ」
私はくるっと進路を変えて歩き出す。
(政宗の御殿で待ってよう。お酒飲まないから帰りも遅くならないと思うし……帰ってくるまで照月と遊んでよう)
そう決めて足早に御殿へと向かうと、門の前に政宗の側近が立っているのが見えた。
「こんにちは」
「ああ、様。政宗様なら宴に行っておりますよ」
「あ、はい。知ってます。帰りを待とうかと思って」
「それはそれは……。政宗様は幸せ者ですな」
「宴に参加されないんですか?」
「ええ、私には妻がおりますので」
「へぇ……(普通……そうだよね……)」
「どうぞ、中でお待ちください」
「ありがとうございます」
促されて門をくぐり、玄関を開けると奥の部屋から照月が走り寄ってきた。
「ふふ、照月寂しかったでしょ?」
「んにゃぁー」
「私もなの。一緒に政宗待ってよ?」
「にゃっ」
「ふふ」
部屋の奥へと入り、照月と遊び始める。
「……政宗………今頃楽しんでるかなぁ」
私の声を聞いて、照月が私の顔を見つめる。
「……駄目だよね。勝手に呼ばれてもない宴に行っといて、勝手に不安になって……」
照月は私が投げた手毬に夢中になっている。
その姿を見つめながらつい溜息が漏れる。
「はぁ……かっこわる。」
「誰がかっこ悪いって?」
「え……?」
驚いて私が振り返ると、宴にいるはずの政宗が立っていた。