第42章 〜42〜番外編①
広間へと続く襖を前に、光秀さんが私に向き直った。
「信長様からの伝言だ。信長様の側を離れるな。」
「はい。」
私が頷いたのを見届けると、光秀さんは襖を開けて広間へと入っていく。
「光秀さん、ありがとうございました」
「ああ。約束は守るんだぞ」
「はい。光秀さんも楽しんでくださいね、程々に。じゃ!」
「……まったく……」
呆れたように微笑む光秀さんに見送られながら私は信長様の側へと向かう。
「、来たか」
「はい。」
「ひと目見たら……」
「はい。すぐ下がります」
「……まあ、精々楽しめ」
「はい」
私がそう言うと、奥の襖が大きく開かれた。
その先には、綺麗な着物を着飾りしっとりとした笑みで前を見る花魁が居た。
「わぁ……」
私が思わず感激した声を上げると、隣に居た信長様が小さく笑った。
「くくっ」
「?」
「そんなに素晴らしいか」
「だって、綺麗じゃないですか!皆美人さん……」
「そういう仕事だ」
「ですね……」
私が花魁を見つめていると、信長様がまた笑っていた。
(ふ……政宗のやつ至極驚いた顔をしおって。さてはここにが居ることを聞かされてなかったな……)
「信長様……どうかしました…………」
私が信長様に話しかけようとすると、目の前に1人の花魁が立っていた。
彼女は信長様を見つめて微笑むと、膝を付き頭を下げた。
(わぁ………めちゃくちゃ綺麗……信長様の所に来たって事は、No.1なのかな……)
私は信長様に聞こうと思った事も忘れ、初めて身近に見る花魁に目を奪われていた。