第42章 〜42〜番外編①
私は天守を後にして、宴までの時間をどう過ごすかと考えながら歩いていた。
(ふふ、楽しみだなぁ花魁。皆綺麗なんだろうなぁ……)
浮かれながら廊下を歩いていると、前から秀吉さんと三成くんが歩いてくるのが見えた。
「、やけに上機嫌だな」
「秀吉さん。ふふ、わかる?」
「何かいい事でもあったか?」
「様、如何でしたか?」
「今、信長様の所に行って、了承貰ってきたよ」
私が嬉しそうに三成くんに言うと、三成くんも嬉しそうに笑ってくれた。
「それは良かったですね」
「うん!」
「なんだ?話が見えないんだが……?」
「秀吉様、様は今日いらっしゃる花魁の皆様をひと目見たいそうです」
「はぁ?」
「そのお許しを今貰ってきたの」
「……お前、花魁が何故城に来るのか分かってるのか?」
「わかってるよ。光秀さんにも同じ事言われたもん。」
「光秀……その場にいたのか」
「うん」
「……絶対面白がってるだろあいつ」
「……確かに馬鹿にはされたけど……信長様は許してくれたもん」
「信長様も……まったく」
秀吉さんは呆れたように溜息を付いた。
「……そんなに女がいちゃ駄目なの?」
「まあ……楽しく飲むだけなら居ても構わないとは思うが……」
「?」
「大の男が花魁に鼻の下伸ばしてるのを見ても、には不快なだけだろ」
「……まあ。でも別に見たいのは花魁だし。それに信長様と、花魁をひと目見たらすぐ下がるって約束したから、長居はしないよ?」
「それならいいが……」
「……秀吉さんも鼻の下伸ばすの?」
「……はぁ?」
「ふふ、嘘だよ」
「ったく……信長様との約束通り、すぐ下がるんだぞ」
「うん」
「下がらなかったら、襟首掴んで部屋へ戻すからな。(俺だけじゃなく、家臣達の気持ちも組んでやってくれ……)」
「約束は守るから大丈夫。」
「様、良かったですね」
「うん!」
(政宗……こいつの好奇心どうにかしろよ……)
私と三成くんが嬉しそうに微笑み合う横で、秀吉さんの深い溜息が聞こえたが、聞こえなかったフリをした。