第42章 〜42〜番外編①
「、何の用だ」
「お話中すいません。あの……信長様にお願いがあって参りました。」
信長様の前に正座して、私は言った。
「なんだ、言ってみろ」
「あの、今日城に花魁の方達がいらっしゃると聞きました。」
「ああ。それがどうした」
「私も、花魁の方達を拝見したいです!」
「はぁ?」
信長様は不思議そうな顔で私を見た。
そして、隣からは押し殺すような笑い声が聞こえた。
「くくっ、お前は朝から天守へ来て、何を言うかと思えば……」
「だって……私がいた未来じゃ、もうそういう文化は殆ど廃れていて、見る機会なんて創り話の中でしか無かったから……」
「ほう……?」
光秀さんはニヤリと笑いながら…私を見た。
「、花魁達が何をしに城へ来るか分かっているのか?」
「勿論……。別に、邪魔したいとか、否定的な事を言うつもりは無いです。ただ、ひと目見たいんです!」
信長様の目を見て真剣にお願いする。
「駄目ですかね……」
「構わん。」
「ほんとですか!」
信長様は意外にもあっさりと認めてくれた。
「やった!」
「だが、お前を宴に出す訳にはいかん。」
「えー……」
「仕方ないだろう。そういう契約を交わしているんだ」
「契約?」
つい不満を零した私に光秀さんが説明してくれた。
「向こうは仕事だ。花魁達の仕事を理解しているお前なら皆まで言わずとも分かるであろう。女の目がある所でやりやすい仕事ではない。」
「それは……」
「こちらもそれに見合った対価を支払う。楽しみにしている者達の為にも、彼女達にはしっかりと仕事をしてもらわなければいけない」
「……」
「わかり易く言うと、お前は邪魔でしかない」
「……それはもう言われなくてもわかってます。(馬鹿にされた……)」
私は信長様に向き直してお願いする。
「宴のほんの最初だけでいいんです。ちらっと見たらすぐ下がりますから……」
「お前も物好きだな」
「そうですか……?(現代人なら皆見てみたいって言うと思うけどな……)」
「まあ、良い。」
「!」
「宴の最初、ひと目見たら下がれ」
「……はい!(やった!)」