第42章 〜42〜番外編①
久々に旦那さんに会えるからか、嬉しそうなお珠さんを見送って、私も食事を済ませて部屋へと戻る。
すれ違う家臣達の顔はわくわくしているような、城内が異様な雰囲気だった。
(……花魁……ってことは、未来でいう……キャバクラ?……いや、ソープ……ってやつなのかな?そういう事だよね……まあ、男の人だし嬉しいんだろうな……)
今日は特に予定もない。
針子の仕事も落ち着いたようで、急いで取り掛かる仕事はない。
ふらふらと城内を散歩しながら、庭先の縁側に腰掛ける。
(今日……政宗も宴出るのかな……。いいな、私も花魁見てみたい……)
未来にも花魁の歴史は残っている。
現代には本物の花魁は居ないが、写真や映画などで見たイメージが湧き上がる。
(きっとすごい綺麗なんだろうな……見たい……でも、城の女は宴に参加出来ないって言うし……駄目かな……)
1人で考えていると、背後から声をかけられた。
「様」
「あ、三成くん。おはよう」
「おはようございます」
三成くんは私の隣に腰掛けた。
「お悩みの様ですが、どうかなさいましたか?」
「あー……うん。今日さ、花魁の人達が来るんでしょう?」
「はい。その様ですね。」
「三成くんも……宴参加するんでしょ?」
「えぇ。武将達は必ず参加する様、遊女屋からのお達しだそうです」
「そうなの?」
「はい。」
「……家康出かけちゃったよ?」
「本当ですか?」
「うん。逃げたのかな」
「家康様はその様な場があまりお好きでは無い様でしたからね。昨年も、確か顔を出してらっしゃらなかったと思います」
「ふーん……。まあ、それよりね?」
「はい。なんでしょう?」
「私もね、花魁に会いたいの」
「花魁に……ですか?」
「うん。1度でいいから本物見てみたくて……でも、宴は城の女は参加しちゃ行けないんでしょ?」
「そうですね……まあ、女性が見て楽しい場ではないかと……」
「(そんなに羽目外しちゃうの……)……ちらっと見られればいいんだけどなぁ……」
「では……信長様にご相談されてみては?」
「信長様に?」
「そもそも、この催しを考えたのは信長様ですし、ご相談してみる価値はあるかと思います」
三成くんは名案だという様にキラキラとした笑顔で私を見る。