第41章 〜41〜
私がそう言うと、家康の顔がゆっくり近づいてきた。
ドキドキしながら目をつぶると、頬に柔らかい感触がした。
「…………」
「ふふ、口にされると思った?」
「……べ、べつに……」
私がそう言いかけると、今度は唇に口付けられた。
「……!!」
「ふふ、吃驚してる」
「もう……」
「可愛い」
「…………いつか……家康に嫌われるんじゃないかって……」
「は?」
「……早くちゃんと家康の事好きにならないと……って……」
「まったく……」
家康は新底呆れたという顔で私を見る。
「優鞠は自分に自身なさすぎ」
「……そんな……」
「俺が優鞠を嫌えるわけないでしょ」
「……なんで……」
「子供の時から好きだって言ったよね?」
「うん……」
「そんな簡単に嫌えたら苦労しない」
「…………」
「子供の頃に遊んでる時も、離れてる間も、ずっと優鞠の存在が支えだった」
「……家康……」
「優鞠と出会えたから今の俺がある」
「大袈裟だよ……」
「そんなことない。俺は優鞠が居たから強くなろうと思えた。いつか、優鞠とまた会えることをずっと信じてた」
「……うん」
「またこうして会えたのに……手放すつもりないから」
「……家康……」
「だから、安心して?」
「……うん」
「俺が優鞠を嫌う事なんて、有り得ないから」
「うん……」
家康の言葉が嬉しくて、思わず涙が零れる。
「っ……」
「なんで泣くの」
家康はそう言いながらも、優しく涙を拭いてくれる。
「……嬉しくて……」
「?」
「家康が……そこまで私のこと想ってくれてると思わなかったから……」
「……ちゃんとわかった?」
「うん……嬉しい……」
「ならいい」
家康は満足そうに微笑む。
「ゆっくりでいいから。この先長いんだし」
「……うん」
「死ぬまで離さないから覚悟しなよ」
「ふふ、私も死ぬまで家康の隣離れないから……覚悟してね?」
「喜んで」
2人で顔を見合わせて笑い合って、また口付けをした。
こんなに幸せで良いのだろうか……
そう不安になるくらい今が幸せで仕方がない。
この人が隣に居てくれるなら、もう何も怖くなくなる。
そんな気がして、大きな幸せを噛み締めた。