第39章 〜39~
黙々と手を動かしていると、色んなことを考え始める。
「あ、そう言えばさ」
「んー?」
「ごみって……どうしてる?」
「ごみ……?」
「そう。」
「えっと……週に1度まとめて庭で燃やしてたと思うけど」
「それっていつ?」
「えっと……あ、確か今日だよ」
「今日?そっか……」
「ごみあるなら持ってくけど……」
「……案内してもらってもいい?」
「うん。じゃ、午後からだったと思うから昼餉食べたら行こっか」
「ありがとう、お願い」
「……何燃やすの?」
「…………私が未来から持ってきた荷物」
「……なんで燃やすの?」
「……一つは……私がいつか死んだら……私の荷物がこの時代に残ったままだと、後々の未来で問題になるから。この時代には無い物ばっかりだから……」
「あぁ……そうだね……。」
「あとは…………」
「……あとは?」
「けじめのため。」
「けじめ?」
「そう。優鞠が家康とちゃんと向き合うために秀吉さんと話したみたいに、私なりのけじめ」
「……そっか」
「……別に未来の物を燃やしたからって、何も変わらないかもしれないけど……。まあ、気持ちの問題?」
「気持ちの?」
「この時代で生きる。もう未来には戻らない。そう決めたのに、大事に未来の物を抱えてるのは違う気がして……。」
「………… 」
「記憶はしょうがないけど、未来と決別する為に出来ることしようって考えたらそれ位しかないかなって。」
「……決別しなくてもいいんじゃない?」
「え?」
「私は……が未来から来て、今までもこれからもいろんな話聞けること……ちょっと楽しみにしてたの。」
「……そう?」
「未来から来たからこそ、こうして友達になれたようなものだし……」
「……そうだね……」
現代にずっと生きていたら、優鞠とはどう頑張っても会えなかった。
恐らく、彼女の名前は歴史には残ってない。
名前すら知ることの無かった相手と今こうして向かい合っている。
そう考えると、改めて自分が今ここにいる事は凄い事なんだと感じた。