第39章 〜39~
部屋を出て、優鞠の案内で針子部屋に行くと、お珠さんが居た。
「あら、様に優鞠」
「お仕事もらいに来ました」
「ありがとう優鞠。様は?」
「あ、私も女中として働かせてもらうことにしたんです。」
「まあ、助かるわ」
お珠さんはにこにこしながら嬉しそうに着物の塊を私達の腕に乗せた。
「じゃあ……これを2人でお願いするわ」
「分かりました」
(すごい量……大丈夫かな……)
「優鞠、しっかり教えてあげてね」
「はい。わかりました。」
優鞠と共に針小部屋を後にし、自分の部屋へ戻る。
「すごい量だね……」
「そうね。お直しは定期的にまとめて届くから……」
「へぇ……お直し以外は?」
「着物を反物から頼まれる事もあるよ。」
「へぇ……」
「城内は勿論だし、城下の町民からも依頼が来るのよ」
「そうなの?」
「うん。それだけ安土城の針子は腕がいいって噂なの」
「へぇ……凄いんだね」
「も、いつか着物を作る日が来るかもよ?」
「うーん……どうかな……」
「まあ、徐々に頑張りましょ。教えるから」
「うん。ありがとう」
部屋について、着物を広げながら優鞠に縫い方の説明を受ける。
「ここがほつれてるから……裏側から糸を外して縫うの。」
「……やってみる」
針と糸を手にし、着物の袖を縫い始める。
(裁縫とか……ボタン付けくらいしかやってないからな……直線縫いとか家庭科以来かも……)
最初は思い通り行かなかったが、地道に続けるうちに、だんだんと楽しくなってきた。
「……お針子……向いてるかも……」
「そう?……あ、綺麗に縫えてる」
「ほんと?」
「うん。その調子」
「はーい」