第39章 〜39~
「ふふ、じゃあ私も言っちゃう。昨日私も家康と……口付けした」
「……そう……」
「うん。これでおあいこ」
「……ふふ、そうだね」
優鞠の話を聞けて、思わず私の事も暴露した形になってしまったが、優鞠が楽しそうで嬉しくなった。
そして、私は優鞠に頼みたいことがあるのを思い出した。
「……あ、そうだ。」
「ん?」
「今日でこの城に来て1週間経つの。」
「……そうだね」
「うん。だから、そろそろちゃんと仕事をしたいなって」
「女中の仕事に決まったんだっけ?」
「あー、うん。それとね、世話役」
「世話役?」
優鞠はきょとんとした顔で私を見た。
「私も何をすればいいのかよく分かんないんだけど……。武将達に呼ばれたらすぐ行って、言われた事やる……みたいな?」
「側近……というか…………」
「使いっ走りみたいなものかなって私は思ってる……」
「うーん」
「信長様がね、世話役だって決めたんだけど、秀吉さんに言わせると早くこの城に慣れるため……らしいよ」
「へぇ……お優しいのね」
「うん。最初は怖いし自己中心的でなんだこの人って思ったけど……なんだかんだ優しいんだと思う」
「……私はあんまりお話したことは無いけど……色んな人から聞いた話では……凄い人だって思うよ」
「……うん……。あ、でもね女中の仕事もしていいんだって。だから優鞠に教えて欲しいの」
「……私でいいなら……」
「うん。宜しくお願いします」
私が姿勢を正して頭を下げると、優鞠も改まって言った。
「こちらこそ、宜しくお願いします」
「ふふ」
「じゃあ……とりあえず針子かな。今丁度忙しいみたいで」
「針子かぁ……うまく出来るかな……」
「大丈夫よ。ならすぐ慣れると思うし」
「そうかな……」
「うん。じゃ、とりあえず針小部屋行こっか」
「うん」