第37章 〜37〜
暫くして、預かってきた着物の半分ほどを直し終え、一息つく為にお茶の支度をしていると、背後で襖の開く音が聞こえた。
宴からが帰ってきたにしては早いなと思い、振り返ると今日1番会いたかった人がいた。
「……え、なんで……」
「やっと見つけた」
家康は嬉しそうにそう言って笑うと、部屋に上がって来た。
私が突然の事に驚いたままで動けずにいると、身体にのしかかる重みを感じ、すぐ家康に抱き締められている事に気付いた。
「……いえ……やす……」
「優鞠……ごめんね」
「え?」
「俺、昨日ちゃんと恋仲になってって言わなかったよね」
「あぁ、うん……」
「に言われた。それじゃ優鞠が困るでしょって。」
「…………(……言ってくれたんだ)」
「俺さ、優鞠に自分の気持ち伝えたくて……自分勝手だったね」
「……そんなことないよ」
「……え?」
「私あれからすっごい沢山考えたの。家康との事……」
「……ほんと?」
「うん……」
家康はゆっくりと身体を離して、私の顔を見た。
「……まだね、正直家康のことすっごい好きって訳じゃないの……。」
私がそう言うと、家康の表情は微かに傷ついたように見えた。
私は家康の頬に恐る恐る自分の手を添えた。
「でもね、家康といると胸が高鳴るの。まだ、好きって気持ちは小さいけど……多分もっと一緒にいれば、家康の事ちゃんと好きになれる気がするの……」
「優鞠……」
家康は驚いた顔で頬に添えられた私の手首をそっと掴んだ。