第37章 〜37〜
お珠さんに相談しながら歩いていると、いつの間にか針子部屋に着いていた。
私は手渡された着物を抱えて、作業場所を見渡したが何処もいっぱいだったので、お珠さんに断っての部屋で作業をする事にした。
(うーん……やっぱり好きなら立場なんて気にしなくていいのね……)
着物を抱えて部屋の襖を開いて、部屋の隅にとりあえず着物をおいた。
(……いるかと思ったのに……秀吉様のこと話したかったんだけど……)
部屋に上がると、机の上に置き手紙があるのが見えた。
手に取ると、から私に宛てたものだった。
『宴に行ってきます。』
(宴行っちゃったか……)
少し残念に思いながら、手紙を懐にしまい、腰をおろして着物を手にかける。
「さてと……」
一番上の着物を広げて、手直しする個所を探す。
(……派手に破れすぎ……これは時間かかりそうだなぁ……)
優鞠は短く息をつき、着物を前に気合をいれて取り掛かった。