第32章 〜32〜
秀吉様がお茶を入れ直してくださり、ありがたく頂きながらほっとした心地だった。
(……うん。ちゃんと全部伝えられて良かったな……。スッキリした……。)
「そういえば……」
「はい?」
「お前、家康とはどうなんだ?」
「ごほっ……ごほっ……」
「おい、大丈夫か?」
突然の質問に思わず咳き込んだ私を心配そうに秀吉様が見つめる。
「だ、大丈夫です……。何故いきなり家康様の名前が……」
「いや、の歓迎の宴の時、家康にお前の事を少し聞かれてな。知り合いだったか?」
「……ええ、まだ父が存命だった頃、何度か織田家に来たことがありまして、その時に家康様にはお会いしております……」
「やはりな。」
「?」
「俺には家康とお前は似合いに見えるぞ?」
「…………(鋭すぎる……)」
「まあ、無理にとは言わないが……あいつが女に執着を見せたのを初めて見たからな。少し気になってな……気を悪くしたのなら謝る。」
「そんな、とんでもない……あの……実は……」
「ん?」
「いや、やっぱりなんでもありません……」
「なんだ、気になるだろ」
「……でも……」
「んー?」
秀吉様はからかうような目線を私に送る。
その視線に耐えられず、ここまで来たらどうにでも……というつもりで打ち明けた。