第32章 〜32〜
優鞠を部屋に呼び入れ座らせ、とりあえず落ち着かせようとお茶を出すと、慌てて謝られた。
笑って気にするなとお茶を進めると、一口飲んで少しは気持ちが落ち着いたように見えた。
(そんな緊張して……の事で何かあったのか……?そうは見えなかったけどな……)
昨日光秀と話した時も、緊張した様子だったが最後には笑っていたを思い出す。
同時に、優鞠はの見張りを形ばかりではあるが信長様に頼まれていたことを思い出して、心做しか不安になった。
優鞠に優しく声をかけると、ゆっくり話しだした。
聞くと、俺に礼が言いたいという。
何かしたかと考えを巡らせていると、優鞠が深々と頭を下げ、時々声を震わせながら言葉を繋いでいった。
(……あの時の事か……)
話を聞きながら、その当時のことを思い出していた。