第31章 〜31〜
「そっか。」
「でも、だからといって家康の気持ちに答えられるかは別の話で……」
「そりゃあ……まあね。」
「それに……」
「?」
「家康がね……」
頬を赤くして、言いにくそうに口篭る優鞠は、既に家康に恋をしているように見えた。
(でも、優鞠本人も気が付いて無さそうだし、それを今私が言うのは違う気がするから……まだ黙っておこうかな……)
「いずれ……家康は自分の領地へ帰るでしょう?」
「あー、そうだね」
「その時……妻としてついてきて欲しいって言われて……」
「妻???」
赤い顔を俯かせてしまった優鞠を見つめながら、私も驚いてしまった。
「妻って結婚しようってことだよね……」
「だよね……」
「家康……思い切ったな……」
「思い切りすぎだよ……私は友達になるのも悩んでたのにいきなり結婚だなんて……」
「そうだね……ちょっと気が早い……かな」
「でしょう?」
「優鞠……大変だね……」
「ほんと……困る……」
優鞠は溜息を漏らす。
(でも、嫌じゃ無さそうだもんなぁ)
多分、家康はこれからもどんどん優鞠に対して攻めてくるんだろうなと思った。
そして優鞠は嬉しいけど困る気持ちが今は大きいみたいだけど、近いうち家康の事をきっと好きになるんだろうなと思った。
(まあ、家康が押しすぎて優鞠が潰れないか心配だけど……家康なら大丈夫かな……)