第30章 〜30〜
(おかしい事言ってないよね……?)
私は顔に出ないように気をつけながら、自分が言ったことを思い返していた。
「お前は……」
「?(な、何……)」
「意外にも自分の意見をちゃんと持っているんだな。驚いた。」
「え……?」
「今のような愚純そうな顔のままの性格で、平和ボケしているかと思いきや、物事を全体的に捉えるいい目を持っているようだ」
「愚純……(意味は分からないけど、馬鹿にされてる気がする……)」
「結果的には褒めているだろ?」
「あ、そうですね……(なんだろ……全然嬉しくない……)」
「そういえば、今お前は戦国時代と言ったな」
「あぁ、後に今この時代を、戦う国と書いて戦国時代と呼ぶんです。」
「戦って国を創る、ということか」
「そうですね。」
「単純な名だが、実に的を得た名だな」
光秀さんは笑いながら言った。
「話は変わるが」
「なんでしょう?」
「お前、政宗と恋仲らしいな」
「……なんでご存知なのですか……」
「先日、信長様と話している時聞いたのだ」
「へぇ……」
「なんだ、そんなに不思議か?」
「いや、光秀さんもそんなこと気にするんだなぁと思って」
「なんだ、悪いか?」
光秀さんはニヤリと笑った。
「いえ。ちょっと意外で」
「まあ、お前の恋路を邪魔するつもりは無い」
(でしょうね)
「まあ、暖かく見守ってやる」
「いいですよ、見守らなくて……」
光秀さんはニヤリと笑ったまま私を見る。
「絶対からかうつもりですよね……」
「さぁな」
「……(光秀さんには気をつけよう……)」