第30章 〜30〜
「未来から来たお前が見て、今俺達がしている事が正解だと思うか」
「それってどういう意味ですか……」
「おい、光秀。お前……」
「ただの個人的な興味だ。」
光秀さんは私を見据えて言った。
「今、乱世ではあちこちで戦いが起こっている。」
「そうみたいですね……」
「だが、たまにふと思うことがある。誰が勝っても誰が負けても、いや。戦などしなくてもこの国は変わるんじゃないかとな。」
「戦がないことに越したことはないと思います……。現に、私が生まれた時代では日本はちゃんとひとつの国として成り立ってるし、国内で戦はありません。」
「やはりそうか。」
「はい。でも……私にはわかりません」
「?」
「敵にも味方にも、みんなに大事な人が居て、大事な物や場所がある。それを失っても戦って……それで果たして世の中は良くなっていくのか……」
「……そうだな」
「でも……今この戦国時代で、貴方達が国を良くしようと敵と戦ったからこそ、私が生まれた平和な日本がある。だから、今貴方達が戦うことが必ずしも悪いとは私には言いきれません。」
「……」
「そりゃ、誰も傷つけずに話し合いで事が治まれば一番いいんですけど……。そう簡単に世の中上手くいかないですよね……」
「そうだな。そのような平和的な解決策はこの乱世では通用しないだろう」
「だから……戦に勝ったからといって日本はすぐ変わらない。でも、貴方達が戦う意味はあると思います。今、もし武将が戦いをやめたら、逆に日本は滅びてしまうかもしれない」
「未来から来たお前でも、結末はわからないと」
「そうですね。それに……」
「なんだ?」
「さっき、本当は本能寺で織田信長が亡くなるはずだって言いましたよね」
「あぁ。」
「だけど、今信長様は生きてる。だから……」
「歴史が変わって、ますますお前にもわからないと」
「そういうことですね……多分その違いは凄く大きいと思います。」
「そうだろうな」
光秀さんは考え込むような表情で黙り込んだ。
私は不安になり光秀さんの顔を見て黙り込む。