第30章 〜30〜
「えっと……多分勉強したと思うんですけど……随分前の事なので……」
「忘れたと」
「……そうですね」
(あ、なんか残念そう……)
表情こそ変わらないが、目線が少し変わった気がした。
「でも、歴史の教科書に明智光秀の名前は乗っています。信長様も、秀吉さんも、政宗も家康も三成くんも皆」
「教科書……?」
「あ、未来では子供が学校というものに必ず通うんです。そこで色々な勉強をするんですけど、その中に日本史があって……」
「ほう……」
「様々な歴史を学ぶんです。だから、後世の日本人なら全員が皆さんの名前を知ってるんです。まあ、私が勉強していたのは随分昔なので……詳しくは……ちょっと忘れてしまったので……思い出したらまたお教えしますね」
「頼む」
そう言って光秀さんはお茶を一口飲んだ。
私もお茶を飲みながら隠れて一息ついた。
(なんとか……誤魔化せたかな?今度佐助くんに会ったら、戦国武将のした歴史に残るいい事教えてもらおう……)