第26章 〜26〜
(が政宗さんの所ってことは……の部屋には居ないかな……)
優鞠が普段いる場所が思いつかず、いそうな所は虱潰しで回る覚悟での部屋へ向かう。
(ここにいなかったら……針小部屋か……厨房か……女中部屋かな……)
部屋の前で軽く深呼吸をし、襖を少し開けて中を覗くと、優鞠が座って着物を縫っている姿があった。
(いた……)
無意識に綻ぶ顔に気が付き、慌てて無表情を取り繕って、襖を音を立てて開けて声をかけた。
「優鞠」
「あ、家康……どうしたの?」
「ちょっとね」
そう言いながら部屋に入り、優鞠の隣に腰掛けた。
「に用なら……」
「にじゃない。優鞠に会いに来たの。」
「私に?」
「うん。」
「そっか……」
優鞠は何処か悲しそうに微笑んだ。
(そんな悲しく笑わせてるのは俺か……)
「……何か用事だった?」
「…用事がなきゃ会いに来ちゃ駄目なの?」
「そんなこと……ないけど……」
「友達だからね」
「……そうだね」
(友達なんて……そんな関係嫌だけど……)
「今、お茶入れるね」
「うん」
優鞠は着物を畳み、お茶の支度を始めた。