第6章 第六章
「分かった!主の為に馬糞集めて見るね!」
「んっ?いや、馬糞を集めるのはいいけど結局畑にまくからね?」
「じゃあその時は馬糞を嫌いなやつに投げていいの?」
「いやいや、勿体無いから畑に投げて?骨喰くん、鯰尾くんの事止めてくれない?彼なら本気でやり兼ねないからさ…」
「主、俺には無理だ…」
朝食が終わってまだ時間は経っていない。のにも関わらずなんと言う話しをしているのだろうかと思う。それにしても、会話に入ろうか入らないかでウロウロしており…結局にこやかにほのぼのとした会話をする私達を見つめて悶えている一期さんの視線が気になって仕方ないがあえて無視を決め込んだ。
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和やかな雰囲気のまま会話を楽しんだ私は、片付けを終わらせてしまった粟田口の短刀達に酷く申し訳なくもなった。なので私は全ての短刀達を呼び寄せて一緒に万屋へ買い物に行こうと考えた。
「ごめんね…結局片付けを手伝わずに」
「いいえ、大丈夫です!」
「そのお礼に、私とデートしましょう?」
「大将、でーとってなんだ?」
「えっと…昔でいうなら逢い引きかな?」
微笑む私は彼等の身長まで屈む。よしよしと頭を撫でながらに言えば、大人の刀剣男士達は大きくざわめいた。短刀達はきょとんとしており、厚くんと薬研くんが私に手を差し伸べてくれた。
「大将に逢い引きを誘われたなら、断る理由がねぇな…」
「大将…行こうぜ。俺達が沢山楽しませてやるよ!」
そう…それはまさに乙女ゲーム見たいだった。凛々しい短刀達に目がチカチカしてしまう、カッコイイし可愛いし惚れてしまいそうだ。
「あっそうだ!蛍丸くん、君もおいで!」
「えっ、でも…」
「大太刀でも蛍丸くんは別だよ…」
後ろを振り返り、蛍丸くんに近付くと身長まで背を屈めて手を差し伸べた。一緒に行こうと笑う。すると後ろから私に抱き着いて来た短刀がいる、赤い髪の短髪が視界に入った。
「蛍、一緒に行こうぜ!主さんがなんでも買ってくれるって!」
「あはは。なんでもかー…万屋にある物なら良いけど、なにが欲しいの?」
「見てから決める!なぁ!蛍行こうぜ!主さんもこう言ってる事だしさぁ!」
仲が良いのはいい事だ、私は二人の言葉に耳を傾けていれば蛍丸くんは戸惑いつつもそっと手を取ってくれた。それがまた可愛らしくて抱き締めてしまいたくなった。
「ありがとう…主、気付いてくれて…」