第5章 第五章
※少し汚い描写が出ます。大丈夫な方はそのままどうぞお進み下さい。
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「主、あんた…手慣れてるな。女はこういうの嫌じゃないのか?」
「長曽祢さん。うーん…別に好きではないですよ?ただこういう役回りは私が頼まれる事が多かったんですよね?」
会社員の頃は、酒を飲む事は余りなく…寧ろ私に介抱して欲しいが為に良く飲み会に誘われる事が多かった事を思い出す。面倒だと思いながらも案外頼られる事が嬉しかったというのもあるのだが、その上司が元恋人であり男審神者の卯月というなんとも言えない接点で付き合う事になったのだが…しかしあれさえなければ私は他の人生をもっと謳歌していたのではないだろうかと項垂れ考えて止めた。
「鶴丸さん…貴方も飲んだんですか?」
「あぁ…主か、スマンが…助けてはくれないだろうか」
夜遅くから参加していた鶴丸さんは口元を抑えており、吐き出そうとするも上手く吐けずにいた。顔色は悪く真っ青であり涙目の彼は戸惑いを見せる。うーん…これは不味いなと思い、鶴丸さんに立てるか聞くと口元を押さえてコクコク小さく頷いた。
「あるじ…気持ち悪い…吐けない…」
「あの…長曽祢さん、他の皆さんの介抱をお願いします。私は鶴丸さんとトイレ、いや…厠へ向かいますので少し席を外しますね?」
私は鶴丸さんの肩と腰に手を回し、ゆっくり慎重にトイレへ足を進めた。道中大皿に盛り付けられた卵料理を手に持つ燭台切さんとばったり会い、直ぐに察した彼は「厠へ向かうんだね、後で水を持って行くよ」と言う燭台切さんを私は呼び止めた。水ではなく体温程度のお湯に塩を入れた食塩水をお願いしたのだ、少し目を丸くしていたが頷く彼に私はありがとうと伝える。少し歩いた所にトイレを発見し、便座の前に座って貰った。
「そんなになるまで飲みますか…」
「君、こんな時に小言は止めてくれ…」
「すみません、それじゃあ…口開けて私を見て下さい。手っ取り早く事を済ませたいので」
「いや…君、一体なにをする気だ?」
「察しのいい鶴丸さんなら分かる事だと思いましたけど…」
私はにっこりと笑い彼の口に指を入れようとすれば、表情が凍り付いた鶴丸さんがいた。いつもの飄々とした様子はなく嫌だと左右に首を振る。
「冗談だろう?」
「まさか、手慣れてますから大丈夫ですよ?」
なにが大丈夫なんだと言いたげな視線を向ける彼ににこりと笑った