第3章 私の本丸だ
「ん? あぁ、噂をすれば……」
私がショタたちに見惚れていると、聞き覚えのある声がその中から聞こえてきた。
「薬研くん。 調子はどう?」
「お陰様で何ともない。
……あの時はありがとな。兄弟の分も礼を言わせてくれ。」
ショタ団子から立ち上がり、こちらに来た薬研くんは私に頭をさげた。
「そんなのいいよ……みんな無事ならそれでいい。
それよりも、ご飯持ってきたからみんなでたべ……」
そして私の隣に立つと、流れるような自然な動きで私の腰を抱いた。
「……薬研くーん?? 君はあんな事をしておいてまだ学習してないのかな??」
振り払いたいが、下手に動くとせっかく作ったおにぎりが崩れそうで、私は薬研くんを精一杯睨みつける。
「あぁ、あれは悪かったな。
だけど、これからお互いに知っていけば問題ないだろ?」
言ってる意味がわからない……。
腰の手を引き剥がそうと身をよじってみるが、薬研くんの手はピクリとも動かない。
「……っ!! あんたいい加減にっ……」
「コラ薬研、あんまりお嬢さんを困らせるなよ」
私が薬研くんと格闘していると、鯰尾くんの手刀が薬研くんの頭に振り下ろされた。
「っ鯰尾にぃ!!」
「鯰尾兄さん!!」
「鯰尾兄ちゃん!!」
先程まで遠巻きに私と薬研くんの格闘を見ていたショタ達が、鯰尾くんが私の背後から現れると、花が咲いたような笑顔で駆け寄ってきた。
「あ、骨喰にぃもいる!!」
「元気そうでよかった!!」
「お前達も元気そうだな!!」
「ふぇぇぇぇにいさぁん!!!」
「ひっく……うぅ。にいさぁん」
「秋田、五虎退……心配かけたな」
ホームドラマの一場面のような光景にアウェー感を感じながら、それでも離れず腰に絡みつく薬研くんへ冷たい視線を送っていた。
「……薬研くんも行ってくれば?」
そういった私の冷たい視線に流し目を返してきた『ませガキ』に「そしたら嬢ちゃんが1人になるだろ?」なんてサラッと返されて負けた気がして悔しくなった。
「やーげん!! 独り占めしてないで紹介してよー。」
薬研くんの背後に視線を移すと、長い髪にスカート姿の『刀剣男士』がたっていた
「……乱藤四郎、、、くん?」