第3章 私の本丸だ
一通り黒服が探したみたいだけど、今のところ短刀と打刀、脇差以外に太刀は2振りと槍が1つだけ、しかも二人以外は各自振り分けた部屋に戻って眠ってもらっている。
「……石川は霊力が…その……高かったわけじゃないから、俺達以外の刀の人型を維持が出来なかったんだ」
おぉ、オブラートに包んだけど要するに霊力が高く無かったのか。
「太刀や大太刀、あと所謂価値の高い神聖な刀は霊力の供給が追いつかなくて顕現してもすぐに元の姿に戻ってしまって、だから、刀のまま蔵に入れられている」
2人の説明でようやく理解ができた。
なるほど黒服は確かに『刀剣男士はこれ以上居ない』って言っただけだからね。刀までは見てないんだろう。
「……なるほどね、分かった。けど今は本丸のメンテナンスが優先、終わりしだいそっちの方にも手を回すからちょっと待っててね」
今の現状で彼らを戻しても得策とは思えない。
とりあえず今のメンバーの精神面での回復と本丸のメンテナンスが最優先だ。
「……わかった」
「っありがとうございます!!俺達も手伝います!!」
私の説明に納得してくれたのか、2人は声を揃えて「何をすればいい!?」と詰め寄ってきた。
「……そうだねぇ。
ーーーーじゃあまず最初は、みんなでご飯食べれるようにしっようか。」
「ーーーーーーーえ?」
私の提案に拍子抜けしたのか、鯰尾くんはポカンと口を開け骨喰くんは首をかしげた。
今までの眉間に皺を刻んだ表情とは違う、年相応の表情がなんだか可愛らしく思えて、「かわいい顔できるじゃん」っと呟き立ち上がった。
「もうすぐ日も暮れるし、早いけど晩御飯にしよう」
厨房って何が置いてあるのーなんて声をかけて、伸びをしながら私は厨房の方へ歩き出した。
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「あの臨時の人変わってるね」
「だろ?」
「何だそのドヤ顔は」
「いやなに、俺っちが最初に唾つけたんだから取ってくれるなよ? 兄弟?」
「うわぁ、薬研に目ぇ付けられるとかあの臨時の人可愛そすぎる……」
「まぁ、悪いやつじゃ無さそうだしいいかな?」
「……人間なんて皆同じでしょ」
「とりあえず、あの臨時の嬢ちゃんの処分はまだ保留だな。」
「……結構イイヤツだと思うんだけど。」