第3章 私の本丸だ
「いや、違う…あいつは石川が拾ってきた只の小娘だ名前は…確か『華』だったか。審神者になれるような霊力持っちゃいないよ。気が付いたらここに居て、'石川にアンタたち好きにしていいっていわれた!!'つって俺たちを使って遊んでたんだ…」
帰ってきたのは期待を裏切る返答。
「チッ、違うのか。」
「残念だったね神奈ちゃん?
審神者探しは、また振り出しに戻ったわけだ〜。
で、薬研藤四郎。'只の小娘'ってどういうことかな?
本丸のある時空間は霊力のある者しか存在を保てないはずなんだけど?」
放置した腹いせか、六弥は床に置きっぱなしだったタブレット越しに私を煽り、薬研くんに声をかけた。
「あぁ…だからその娘は俺たちから毎晩、無理やり霊力を吸い取って居たんだ。」
「え!? 確かテキストには、『刀剣男士からの霊力の供給はご法度、神力が強すぎて体が持たず消滅する恐れがある。』って書いてあったけど……」
「あぁ、だから副作用としてどんどん若返っていったんだ。
本来、アイツは35・6のはずだが……」
そこに転がっているのは、どう考えても中学生…下手をしたら小学生位の少女だ。
「…なるほどね、とりあえずこの子のことは置いておこう。
薬研藤四郎、他の刀がどこにいるかは知ってるかい?」
六弥は結論を出すと、薬研くんにそうたずねた。
「……調理場か台所には俺っちたちの兄弟がいると思う」
「台所?」
ってことはご飯は食べれてるのかな??
そう言ったっきり俯いてしまった薬研くんに私は微笑んだ。
「大丈夫、私が何とかするから」
「っあんた……」
「とりあえず台所に向かってみるね。 薬研くんはここに居て……」
「お、俺も…!!」
「ダメだよー。
回復したとはいえ、そんな体で無茶出来ないでしょ?それに、ここに居る子達が目を覚ました時、何が起きたか分からないんじゃパニックになっちゃう…だからね? お願い。」