第3章 私の本丸だ
「あ、あんたは…」
「私のことは今はどうでもいい。
信用出来ないかもしれないけど、今は我慢して。
まずこの子達の治療。刀剣男士って刀の方が無事なら回復可能らしいけど、痛い事に変わりはないでしょ。
薬研くんも辛いと思うけどお願いしてもいい?」
突然現れて勝手を言っているのはわかるでも、けど今私の手の届く範囲だけでもこの子達を助けてあげたい。
「……分かった。」
「ありがとう!!」
私は厚と呼ばれていた男の子にジャケットを掛け、放りだしたタブレットを拾い六弥を呼んだ。
「六弥!
ちょつと、六弥。早く出てきなさいよ!!」
「嬢ちゃん一体何を…『呼んだかい?』」
突然タブレットから聞こえた男の声に薬研くんはギョッとした顔をして私を見ている。
「この子達の傷、どうやったら治せる!」
こちらの現状を何も知らず呑気な顔をした六弥に殺意が湧く。
『 っ今資源をそっちに送った。一応、応急手当程度だけどこれで中傷位には戻るはずだから。送られてきた画像は見てたけど、その場所で何があったんだい?
そこにいる子達、どう考えても重傷…いや、折れる寸前じゃないか…』
光の輪から現れた資材を確認していると視線を感じた。
視線を向けると薬研くんの不安そうな目と視線がぶつかった。
そりゃこんな不慣れな手つきしてたら不安にもなるわな…。
「そこに転がってる奴が元凶……画像送ったからそれで詳しくは確認して。」
六弥からの指示を受けながら転送され届いた資源を繋ぎ合わせ、なんとか倒れていた子供たちへの治療は終わった。
終わったけど…
「ハァハァ…」
「や、薬研くん!! 六弥っ、もっと即効性のある方法ないの!?」
全員の手入れを終えると私に寄りかかってきた薬研くんは汗を浮かべ荒い息を吐いていた。
パッと見じゃ分かんなかったけど、この子が一番酷い状況だ…
このままじゃ…
感情のままに私は六弥に叫んだ。
「……あるっちゃあるけど、霊力が」
「どうしたらいい!!」
「けど…」
「はやく!!」
「…一番手っ取り早いのは、キミの霊力を直接流し込むことだ。」
「どうやって!?
私、難しいこと分かんないわよ!!」
「とりあえず直接彼に触れるんだ、何でも、どこでもいい。
手をつないだりとか、一番は人工呼吸の要領で口から直接霊力を吹き込むんだけど…」