白昼夢第3幕【華と舞う蝶】黒尾×孤爪×木兎×赤葦[®18]
第30章 蝶の心に咲く華
『一回…だけ…出なかったら
諦めるから…』
誰にするでもない言い訳をして
トン、と指で名前を叩いた
一回…二回…
鉄朗…声…聞かせて…
神様、お願い…鉄朗に繋げて…
瞑った目、耳に届くコール音が
〈もしもし?どうしたんですかァ?〉
愛しい声に切り替わった
『あ、クロ?今大丈夫?』
鉄朗って言いそうになるのを
グッと堪えて
なるべくいつも通り話しかけてみる
〈どうしたんだよ?
木兎は?〉
何気なく投げかけられた質問
鉄朗に悪気はないけど…
そうだよね聞かれて当然だ
私の彼氏は光太郎なんだもん…