第17章 三成の秘密。・:+°三成。・:+°
「夕霧様、お待たせしてすみません。軍議の最中でして秀吉様はまだ抜けられそうにありません。」
「私は大丈夫。三成くんは軍議に出なくても大丈夫なの?」
軍議なら三成くんもいないとまずいよね?
「私は秀吉様と武将が揃う軍議に出ていますので大丈夫です。」
それでも、きっと気にして声をかけに来てくれたんだろう。申し訳ないな・・・
「夕霧様、お時間はありますか?」
「うん。急ぎの仕事もないし大丈夫。」
「よろしければお茶を飲んでいかれませんか?」
お茶・・・
いつもと変わらない会話なのに、この言葉を聞くと胸がざわつく。
「ありがとう頂くよ。」
平静を装ってみたものの、どんな顔をして三成くんとお茶を飲めばいいのか・・・
「ではお茶を入れて参ります。」
「ちょっと待って!」
あ、ついっ・・・
「はい、何でしょう?」
どちらにしたってもやもやしたままでは気持ち悪過ぎて三成くんといられない。
もうどうにでもなれっ・・・
「三成くん、少し話をしない?」
気の利いた言葉が出る訳もなく、直球で三成に声を掛ける。
「ええ、いいですよ。」
私の前に座りエンジェルスマイルを振りまく彼に話を持ちかけたはいいものの、どこから話をしたらいいのか・・・
「三成くんと秀吉さんの出会いってどんな風だったの?」
当たり障りなく三成に問う。
「出会いですか?私が小姓として仕えていた寺に秀吉様が見え、お茶を出したのが始まりです。」
お茶・・・やっぱり三献の茶は間違いじゃなかったんだ。
「でも、三成くんってお茶入れるの苦手だよね。どうやって入れたの?」
「他の小姓仲間にどのようなお茶がいいか伝えて入れて頂きました。休息にいらっしゃっている秀吉様に粗相は出来ませんから。」
なるほど・・・。
「秀吉様はそれも含め面白いと私を召抱えてくださいました。」
世話好きだもんね秀吉さん。
根っからの世話焼き気質の秀吉さんだから、三成くんに何か運命の様なものを感じたんだろう。
まさかのここまで自分に無頓着でお茶を入れるのが下手だとは思わなかっただろうけど。