第17章 side HAIBA LEV
side梢
お盆休みもあと2日に迫った夕方6時。
私は東京駅に来ていた。
月島くんにさよならをするために。
リエーフくんと一緒にいることを決めた日に月島くんにメッセージを送ったら、実家に帰省中だった。
東京に戻ってくるのは前々日の夕方。
そう、今。
時間も時間なので夕食を一緒に食べようと誘ってはみたけれど…
スマホで時間を見れば月島くんが乗ったらしい新幹線が到着した時間を少し過ぎたところ。
改札では我先にと新幹線を降りてきた人が群がっている。
そんな人達の後ろ。
つきいろの髪の毛が、人より高いところできらきらひかる。
やっぱり目立つなぁ。
そう思いながら見つめていると、ぱちり、と目が合った。
月島くんは改札を抜けるとまっすぐ私のところに歩いてきた。
『帰省、お疲れ様。月島くん。』
「…ありがとう。」
私に向かってそう言うと、月島くんはキャリーケースを引きながら進んでいく。
足の長い月島くんに置いて行かれないように、私は少し早めのペースで歩く。
…ってどこに行くんだろう。
『月島くん?どこに行くの?』
そう聞けば、月島くんはくるりと振り返り口端をあげ、笑う。
「梢と僕が行くところなんて、1つ…デショ?」
そう言って月島くんは、私が逃げないようにと私の手首を捕まえる。
『つき…しまくん?』
「夕食、付き合ってくれるんだよね?」
月島くんは極上の笑顔で私を見る。
『鞄…邪魔になるでしょう?』
なんとか逃げようと必死の私。
でも、月島くんはさらに私に微笑む。
「鞄なんてコインロッカーに入れちゃえば邪魔にならないでしょ。
他に言い分は?」
これは…逃げられない…
『ない…です。』
私は半ば引きずられるようにして東京駅を後にした。