第17章 side HAIBA LEV
side梢
『杏仁豆腐。』
「…え?」
うまく聞き取れなかったみたいで、ぐいぐい近づいてくるリエーフくん。
…さりげなくお尻触ってるね?
お尻を撫でるリエーフくんの手をぴしゃりと叩くと、私はぽそり、呟く。
『だから…コンビニに売ってる、赤いパッケージの杏仁豆腐…買ってきてくれたら許す…』
そう言いリエーフくんの方を向き直せば、リエーフくんはさっきまでのしゅんとした顔を笑顔に変え私を見た。
「わかった!じゃあ行ってくる!」
リエーフくんは、その場で立ち上がると部屋着のタンクトップとスウェットのまま、財布を持ち玄関に走っていく。
『あ!ちょっと!』
急いて走るとどこかにぶつかるって言おうと思ったら、玄関に頭ぶつけて痛みに悶絶してる。
言わんこっちゃない…
ベッドから降りて玄関に行けば、しゃがんで痛みに悶えるリエーフくん。
『気をつけないと…大丈夫?』
「いだい…」
へこんだ声を出しながら顔を上げた真っ赤になったおでこと涙目のリエーフくん。
赤くなったおでこがものすごく痛そうで思わず口付ければ痛みの赤が照れの赤に変わった。
「っ…!行ってくるっ!」
あ、言っちゃった。
ぱたりとドアが閉まり、リエーフくんが走っていく音が遠ざかる。
もう…
ベッドに戻り外を見ればまだ外は暗い。
でもあと2〜3時間もすれば明るくなるだろう。
お盆の休みはあと2日。
リエーフくんと2人、どう過ごそうか。
楽しみで楽しみで仕方がないの。
だから早く帰ってきてね?
リエーフ?