第2章 六つ子は朝が弱い。
「あんた、なんか勘違いしてない?」
お「へ??」
おそ松の襟を掴んで勢い良く顔を近付けた。
「私、そんなヤワじゃないの。勘違いしてか弱い女の子だと思って気を使ってんのかも知んないけどさ、高校卒業してからずっとこの業界で私は生きてきた。あんた達に心配されるほどのモンじゃないのよ。」
至近距離でお互いに目をそらすことなく、私は言葉を紡ぐ。
「じゃなきゃ、あんた達のマネージメントをあの社長が自分以外にさせる分けないでしょ?」
お「……。」
襟から手を離し、微笑んだ私に真顔のままおそ松は固まっていた。
「さっ、私はカバン取ってくるから先に車乗っといて。」
表情を戻し、車の鍵をおそ松の手に握らせ私はその場を立ち去った。
正直心配されて嬉しかった、けど私はマネージャーだ。
タレントの荷物を半分持ってあげるのが仕事であり、負担を増やしてもゼロにしてもダメ。
程よく潰れない程度のプレッシャーをかけて管理するのが仕事だ。
だから…
「みんなは余計なこと考えずに真っ直ぐ前を見てればいいのよ…。」