第1章 伝説の始まり
卯ノ花さんたちが何を話しているかいるかよくわからなかった。
1つ驚いたのは、私があの化物と対峙して5分間しか経っていなかったことぐらいだ。
けど、卯ノ花さんが斬魄刀と口にした瞬間、全員の目が私に向いた。
「うっ……。」
怖くなり刀を抱きしめる。
「そんな…多少霊力は高いかもしれんが、こんな子供に…」
すると、聞き覚えのある声が聞こえた。
「それは確かに斬魄刀で間違いないっすよ〜。」
「浦原、それはどう言うことじゃ?」
浦原さんの間の抜けた声にヒゲを蓄えたおじいさんが問う。
「さっき卯ノ花隊長が僕のところに刀を持って来たんス。で、確認したら斬魄刀でした。それも名前付きの。」
それを聞き、更にざわつきが大きくなった。
「仄、それの名前教えてくれる?」
「ひ、彼岸花。」
「な、名もあるとは…」
「どう言うことだ!!本来、浅太刀は全て統学院で管理されているものを……どこで手に入れた!!」
「……わかんないです。」
私はこの視線を知っている。
人を品定めするような、嘲る、冷たい視線……。
そんな私の答えに納得がいかないのか、大人達は「どういう事だ」「管理に連絡し…」などとそれぞれ難しい話を始めたが、卯ノ花さんの声に全員が口を噤んだ。
「そんなこと今はどうでもいい事でしょう。……紹介はしましたので、この子に何かする際は……覚悟してください。
…総隊長殿、後ほど仄の事でご相談があります。」
「うむ、他に報告のあるものは居るか?……居らぬようじゃの、ではこれにて閉廷!!」
おじいさんの一言に皆がひれ伏した。
帰り際、浦原さんに呼び止められ刀をどこで手に入れたのかと聞かれたが「分からない」と答えた。
実際、いつからこの子が手元にあるのか自分でも覚えてはいないから仕方ない。
そんな会話をしていると会議で最初に発言していた褐色のお姉さんが浦原さんの頭を押さえつけて私に話しかけてきた。
夜一さんと言うらしく、私と同じ年くらいの弟がいるから今度遊びに来いと誘ってくれた。
そんなこと初めて言われたので戸惑っていると、私を迎えに来た清之助は「また、落ち着いたら行けばいい」と助け舟をくれた。
案がいい人なのかもしれないな……なんて考えながら夜一さんに「今度遊びに行きます」と伝えその場を離れた。