第1章 伝説の始まり
「これより隊首会を開廷いたす!!」
長いヒゲを蓄えた老人がそう一括すると空気が引き締まった。
「報告のあるものは前へ!!」
「まず、ワシから…先日侵入した流魂街の…」
老人の声に最初に声を出したのは褐色の肌をした、活発そうな女性だった。
「詳しくは調査中じゃが何らかの形で…」
「……んなことより!!
その後ろの子供はなんでっか。気になって会議どころちゃいますねんけど、卯ノ花隊長?」
髪の長いパッツン前髪の男が話を遮り。卯ノ花さんの後ろに隠れる私を指さし卯ノ花さんを見つめた。
「まさか、あんさんの子供とか言い出しませんよね?」
口調は笑っていたが目が笑ってない。
視線が痛い、その声に同調するように値踏みするような十二人の視線が私を見つめる。
「…胸を張っていなさい。」
「っっ!!」
卯ノ花さんの声に咄嗟に顔をあげる。
「…最後にするつもりだったのですが。
本日はみなさんにこの子をご紹介したく、連れてまいりました。」
卯ノ花さんはそう言うと私の背を押し、自分の前に立たせた。
「ご挨拶して?」
「っ仄…です。」
「はっ、ただの小娘じゃないか。」
その声にビクリと体を震わせると、卯ノ花さんの手が肩に置かれた。
その手はトントントン、と肩を叩いた。
大丈夫、卯ノ花さんがそう言っている気がした。
「先日、北流魂街79地区 草鹿にて虚が出現した為、私は副隊長を連れ向かいました。」
「どうして、卯ノ花隊長が直々に!!」
奥に引っ込んでいた若い隊員の人が声を上げた。
「十一番隊、隊内の揉め事で出たケガ人でうちの部隊は皆、手一杯だったので。」
その問に卯ノ花さんは微笑みながら答える。
「……チッ。」
「そこで虚に襲われていたのがこの子です。」
「なんや、よくある話やない。連れてくる必要あるか??」
「虚が出て約5分も経過していてもですか?」
「「「「「「「「「「っ!!!!!」」」」」」」」
「私が到着するまでの五分間、ただの魂魄であるこの子が虚と対峙して尚且つ刃を交えていてもですか?」
「刃!? 不可能だ…斬魄刀も持ってねぇのに!!」
「……まさかっ!!」
「この子は既に斬魄刀を持っています。」
「「「「「「「「「「「!!!???」」」」」」」」」」」」