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BLEACH *伝説の死神*

第2章 動き出した歯車



暴れる隊士に縛道をかけようと試みているようだが、タイミングが合わず手伝ってくれている隊士を見事に拘束していた。

病室の戸口から見ても勇音がテンパリまくって居るのがよく分かった。

私はスっと右手を隊士に向けると詠唱を始めた。

「雷鳴の馬車 糸車の間隙 光もて此を六に分かつ 縛道の六十一 六杖光牢……」

唱え終えると六つの帯状の光が胴を囲うように突き刺さり、隊士の動きを奪った。

「あぁ?! んだよこれ!?
チッ、解きやがれ!!」

突然動きを封じられた隊士は目を見開き、私に殺気に満ちた視線を向けてそう叫ぶ。

「勇音、今のうちに……」

「へ?? あ、はい!!」

呆気にとられたようにぼーっと私を見ていた勇音を含む隊士たちは、ハッとしたように治療と片付けを始めた。

勇音は私が学院に通う前、四番隊でお世話になっていた頃に入隊してきた新人さんだった。
清之助が忙しい時に私に軌道を教えてくれた先生でもあり、休みの日に妹さんと遊びによく連れて行ってくれた姉のような存在でもある。

「チッ、なんだよコレ!!!」

「あんまり暴れると体を痛めますよ。

勇音、それ終わったら浮竹隊長のことで聞きたいことあるから、時間貰う。」

足元に転がる薬瓶を拾いながら尚暴れようとする隊士にそう答え、私は勇音に視線を向ける。

「わ、わかりました!!


……よし、傷口は塞いだので大丈夫かと思います。
痛むようなら……」

その声を合図に私は縛道を解いた。


隊士の治療を終えた勇音が注意事項を告げる声を聞き流していると、殺気を感じ私は左に体をずらした。

その瞬間私の右側の壁が崩れ去り、粉塵が舞い上がった。

「ざ、更木さん!! 何するんですか!?」

狼狽える勇音の声に溜息をつき『更木』さんに視線を向ける。

「どういうつもりですか。傷口、開きますよ?」

「テメェ何もんだ……。」

壁を砕いた拳を引きながら更木さんはニヤリと笑い、そう聞いてきた。

「新たに十三番隊へ配属になった新人ですよ……。
あーあ、コレは修復するまで時間かかりそうだなぁ。

勇音ー、怪我ない?」

「は、はい……って仄さんは大丈夫なんですか!?」

「ん、大丈夫。
悪いけど、ここの片付け頼んでもいい? そろそろ行かないと……」
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