第1章 カードの手が悪くても顔に出すな
久しぶりに夢を見た。
夕焼けに真っ赤に染まった空の下で、私は6人の男の子達と土手を歩いていた。
同じ顔をした彼らは、急に走ったり、止まって笑いあったり、楽しそうにじゃれ合っているように見えた。
時折彼らは私にも話しかけてきて、それは特別面白い話でもないのに、何故だか夢の中の私は笑顔になっていた。
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ふっ、と目がさめる。
白い天井と容赦なく照らしてくる蛍光灯に目の奥が痛くなる。
どうやらソファーの上で寝ていたらしく、毛布まで掛けてある。
状況を把握しようとしていた視界の隅で何かが動いたのがわかった。
反射的に立ち上がり構えようとするが、力がはいらず、急に起きたからか視界がぐらりと揺れ、そのままぺたんと地面に座りこんでしまった。
「あ、起きた!落ちたの!?大丈夫!?」
視界の隅に映っていた何かがこちらに近づきながら大きな声で話しかけてくる。
地面がぐらぐらと揺れているような感覚が収まらず、顔をうつむかせたまま動けずにいると自分の正面に革靴を履いた足が現れた。
「いよいしょー!!」
手が伸びてきて、それは脇の下に両手を通すと、私はそのまま軽々と持ち上げられそのままソファーの上に投げ戻された。
ぐるぐるする。気持ち悪い。
再び天井を向かされた私の顔を、先ほど私を投げ飛ばした犯人が覗き込むように見てくる。
逆光でよく見えないが、黒髪にダークブラウンの大きな瞳、黄色シャツと首には金のネックレスをぶら下げた男性だとわかった。
ぱかーっと開けた口と大きな瞳のせいか、無邪気そうな印象を受ける。