第4章 他人に悪事を行えばそれなりに仕返しされるもの
数秒の間があって、合点が言ったのか、おお、と声を漏らす。
「そうか、待っていたよ」
興奮を隠しきれていない、少し上がった男性の声がスマホから届く。
どうやら私だとわかってくれたらしい。
『大変お待たせしてしまいました。
つきましてはお値段などのお話し合いをさせていただきたいのですが、ご都合のほういかがでしょう?」
とりあえず私は彼と会わないといけない。
さすがに電話越しでは、殺せない。
「…そうだな、見せたい物があるんだ。
直接屋敷のほうに来てくれないか?」
思いもよらぬ提案に言葉に詰まる。
これは罠かもしれない。
四人を見ると同様に困ったような顔をしている。
しかしすぐにおそ松だけが私の目を見て頷いた。
私はそれを見て、頷き返し、でも少し考えてから返事をした。
『…ありがたい提案なのですが、私、少々手が離せないものでして。
代わりに先日案内させた者を遣わせてもよろしいでしょうか?』
本人が来ないなんて失礼だ、と却下されるかとも思ったが、特に気を悪くするでもなく了承してくれた。
「ああ、この前の子だね。
それは良いとしてできれば早く見せたいんだ。
今日来てもらえるかな」
怪しすぎない?とトド松が小声で言う。
私もそう思うのだが、ここまで来て断ることもないだろう。
虎穴に入らずんばなんとやら、だ。
『ありがとうございます。
お時間のほうは何時頃にいたしましょう?』
「今日は一日暇だからな、好きな時に来てもらって構わないさ」
『では、準備が出来ましたらそちらに向かわせますので。
失礼します』
相手の挨拶を聞いて通話を切る。
電話って慣れないな、と思っているとトド松が詰め寄ってくる。
「ちょっとムーメちゃん大丈夫なの!?
相手すっごい怪しかったじゃん!」
『いやだって、君たちのボスが行けって』
トド松の勢いに驚きながらおそ松を指差し答える。
「大丈夫大丈夫。
ムーメなら酷いことにはなんないだろ。
そんな心配なら俺たちも近くで待機しとこ」
「そうだな。
二人が捕まってるのが屋敷内って可能性も高そうだ」
十四松ももうしゃべっていいぞ、とカラ松が言うと、十四松は口に当てていた両手を離す。