【R18 食戟のソーマ】大好きなのに素直になれない。
第1章 プライドの高い先輩はいつも私を『のろま』という。
教室の椅子に腰掛けながら机に伏せる私に、日向子はオロオロと私の様子を見ていた為苦笑いで呟くようにいった。
「日向子…私。言う前に失恋した…」
「えっ!?し、失恋ですか!?えっ…わ!私というものがありながら!?」
「おい、なぜそうなる…」
彼女なりの元気の付け方だったのだろうが、生憎今の私にはそんな冗談に付き合える程心にゆとりはなかった。
結局勝者だと元から決まっていたかのように、私の好きになった彼が退学し四宮先輩が相変わらず一席で君臨しているのだが。
「あの人に勝てる人なんて…この学園にはいないんでしょうね」
ぽつり…といった言葉に日向子は理解出来たのか、口をギュッとつぐんでしまった。気まづそうに視線を泳がせる彼女に申し訳なくてにこりと笑う。
「まぁ、仕方ないけどね?」
「百合子ちゃん…」
心配する彼女を見て椅子から立ち上がると髪の毛を結びつける。さらりと黒茶色の髪が流れた。確か今日は日本料理の調理授業だったと思われる、なので日向子が私に「百合子ちゃん!私と一緒に作りませんか!」と張り切っていて、私に抱き着いて離れない。
「作るからちょっと離れない?」
私は調理服に着替えようと上着に手を掛ける。そんな中日向子は携帯に私の着替えを撮ろうとした為、冷ややかな視線を送った。
「はぁ、はぁっ…百合子ちゃんの生着替え…」
「ちょっと、生着替えって生々しい言い方しないでよ!」
呆れるようにリボンを解きワイシャツの上に調理服を羽織るように来た。日向子から小さなブーイングが聞こえて「今度はなんなの…」と聞いて見る。
「百合子ちゃん…ワイシャツは、脱がないんですか」
「脱いだら写真撮るでしょうが…」
「だってー!百合子ちゃんの生着替え撮りたいんですー!恥ずかしそうに胸を隠す百合子ちゃんとか!顔を紅く染めながら怒る百合子ちゃんとか!とても美味しいと思いませんか!?」
「もう黙ってくれませんか?」
ボタンを止めながら顔を背け、スカートのファスナーに手を掛けようとすればまた携帯をこちらに向ける日向子の姿に、トイレで着替えて来ようと手を止めた。
「百合子ちゃん!どこに行くんですか!」
「ちょっとお手洗いに…」
そんなー!!と日向子の大声が廊下を出て行っても聞こえていた。