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【R18 食戟のソーマ】大好きなのに素直になれない。

第1章 プライドの高い先輩はいつも私を『のろま』という。


空きの調理室で床に体育座りし天井を眺めた。周りの声は聞こえず、静かな空間だけが私を包み込んだ。

「あーあ…授業サボっちゃった」

なにやってるんだろう、泣いている暇なんてないのに。料理が好き、作る事が好き。それ以前に食べてくれた人の笑顔を見る事が好きで…大好きで。だから遠月茶寮料理學園で料理を学ぼうと思えたし、学びたいとも思った。

「私が最後まで…生き残れるのかな」

まだ泣きそうになる涙を堪えてうつむくと、ガラッとドアが開いた。私はバッとその場所を見る。すると最近会っていなかった彼がいたのだ。そう…四宮小次郎、私が苦手で仕方ない人。

「どうして…」
「…お前こそ、こんな誰もいねぇ調理場でなにやってんだよ」
「それは…じゃあ、四宮先輩はどうして」
「俺は…ここで、まあ。料理の練習をだな…」
「ここで…ですか?」

私がいうと四宮先輩は気まづそうに右手を後ろの首に手を当てた。しかし片手で野菜のダンボールを抱えて持っている姿を見ると、ここで作ろうとする話しは嘘ではないようで私はゆっくり立ち上がる。

「すみません、お邪魔でしょうし…戻ります」
「戻るってどこへだ?のろまなお前でも分かっているとは思うが、もう次の授業は始まっている。今戻った所で追い出されるだけだぞ…」
「それは…そうですけど」

ツカツカと入って来た四宮はダンボールを置いた。そこには色とりどりの野菜が入っていて、ちらりと私の方を見ると彼は呟くように口を開いた。

「授業をサボった罰に、俺の料理のサポートをしろ」
「えっ…」
「優秀な俺の料理の手伝いをしていたなら、叱られる事もないだろう」
「あの…」
「いいから早くしろ、手間をかけさせるな」
「はっ、はい!」

なぜか分からないがいきなり四宮先輩は私に料理のサポートをしろという為、戸惑いながら頷きまた上着にコックコートを羽織った。

「なにを作るんですか?」
「材料を見れば分かるだろう」

材料を見れば…というが、人参、玉ねぎ、カブ、セロリ等の野菜類に牛肉やソーセージがある。それに四宮先輩は鍋を用意した所を見てなんとなく彼を見上げて言った。

「もしかして…ポトフですか?」
「ふん、まぬけなお前でも分かったか…」
「いいえ、自分でも自信がなかったですし…これでもカンだったので。当たっているとは思いませんでした」
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