第4章 第三章 地球を大切にノーモア森林破壊
「世界でいっとースリルな秘密ー♪探そうぜ!ドラゴンボールっー♪」
摩訶不思議な刀剣女子という存在が、この歌をうたう。解るものが聞けば、面白いネタだ。こういう、高等テクニックもお笑いの基本である。
爆笑は誘えなくとも、軽い笑いくらいは引き出す。大事なことだ。
「そろそろ終わりかな」
空を見るといつの間にか青ではなく赤に変わっていた。西の方を見ると、背の高い木々ではっきりとは見えないが、その間から零れる夕陽に彼岸花は笑う。
基本的に自然と戯れる事が好きなので、全く苦痛の時間ではなかった。
畑を見回すともうすっかり雑草はなくなっていた。少し可哀想ではあるが、野菜を植えるためなのだ、許してくれ。
軽く手を合わせて彼岸花が頭を垂れた瞬間、足音が聞こえた。
振り返ると、紫色の髪を持った青年が立っていた。
「………………ここで何をしているんだい」
「地球と遊んでいる」
いつぞや聞いた台詞にそう返す。
「…………君は、確か新入りだったね。」
「そうですね。彼岸花といいます」
「そうかい。まぁ、別にどうでも…………」
「所で、貴方、お腹すいてます?」
「……………………遮らないでほしいな。お腹?空いていたら何なんだい」
不機嫌そうな顔をしつつも答えてくれる青年に彼岸花は笑った。この人はいい人だ。
その理論でいけば昨日の出陣メンバーも根はいいのだろう。
まぁ、それよか、彼はお腹を空かせているらしい。
あんパンは差し出せないが、彼岸花は頷いた。
「なら、一緒に野菜作りませんか?」
「……………………野菜?君は、野菜を作るつもりなのかい」
「もちろん。美味しいのを作ります」
グッと親指を立てる彼岸花。
対して青年の返答は………
「……………………雅じゃないね」
これである。なんだって?
「は?」
場違いな発言に彼岸花は聞き返す。
「だから、雅じゃないよ。畑仕事?他をあたってくれ」
「…………………いやいや。お腹空いてるんでしょう?なら、働きましょうや。野菜はうまい。」
「まず、君。その言葉遣いは何なんだい?主も酷いが、君はそれ以上だ。頓珍漢な事ばかり言って…………」
「え、えぇ…………おこ?おこなんですか?」
何なんだこの流れは。予想外である。
「ほら、それ!」
「ひぃっ!」
ビシッ、と指じゃなく刀を向けられ彼岸花は叫んだ。