第12章 ♤キズを癒やす手（牛島若利）完結

程なくして保険医も戻ってきた

「俺はそろそろ戻るが
しばらく寝ていくか？」

『いえ…もう大丈夫です』

「そうか。一緒に戻るか？」

頷き俺に合わせて外へ出る
体育館に戻ると白布は
一目散に布施に駆け寄ってきた

『賢くん…』

同じく歩み寄ろうとする
布施の手を握り
後ろへ隠し
歩み出すタイミングを潰した
布施が
驚いたような顔で俺を見上げるのを
堪能してそっと
手を離した

「姫凪？」

布施が駆け寄ってくるのを
予想していたのか
白布が少し戸惑いながら
俺達の傍まで来た