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【刀剣乱舞】守護者の恋

第17章 長谷部の選択2


目覚めたら、思っていたよりも一日多く倒れていて。
そんな過去があった。自分には学習機能がないのだろうかと束穂は自分に落胆をする。何故、自分は自分の無茶に鈍いのだろうか、と。
「すみません……また……また、なんとかしようと一人で意地を張って……」
そして、迷惑をかけてしまった。
束穂は体を起こそうとしたが、起きた途端強烈な眩暈に襲われ、そのままおとなしく再び横になる。
「謝るな。実際、なんとかなったのだろう。主がおっしゃっていた。日々の疲れさえなければ、きっと大丈夫だったのだろうと。それから……以前、お前を助けた後も、長い間眠っていたという話も」
そう言いながら、束穂に布団をかけ直す長谷部。
「どうせ、敵に場所を特定された時点で、相当あの場所は空間が歪んでいたのだとも。むしろ、お前の力のおかげで、何日も過去において本丸を維持出来ていたのだと言っていた。改変の影響をみなが感じなくなるぐらいにはやるべきことは出来たのだし、一度現代に戻るべきだったともな」
「……それでもご迷惑をおかけしました」
「ああ」
他の刀ならばそこでもまだ「そんなことはない」とか「気にするな」と言ってくれるところだろうが、長谷部はそうは言わない。が、それが束穂にはありがたいと思えた。
「どなたが運んでくださったのですか?小狐丸さん?」
「……そうだ」
「……?」
答える長谷部の声が、なんだか不機嫌に聞こえる。
「昨日、小狐丸と何故」
「え」
「……何故二人で真夜中共にいた?」
「え……?偶然、わたしも小狐丸さんも、あやかしに気づいて目覚めただけで……そう、偶然みたいなものですよ」
「には思えないが」
長谷部は何を言っているんだろうか、と束穂は少しばかり混乱をした。なんだろう。そこは自分が詰問される場所なのだろうか?と。
「眠る前に、長谷部さんとお会いしたのと、そう変わりがないことですが……」
「……」
「長谷部さん……?」
「では、偶然ではない」
そう言いながら、長谷部は立ち上がった。それから「主を呼んでくる」ともう一度言うと、部屋からするりと姿を消した。
一体それはどういう意味だろう、と思いつつ、声をかけても彼を引き止められないだろうことを察し、束穂は困惑のまま彼がいた暗い空間を見つめるだけだった。
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