第5章 Umbrella【5】
次の日の放課後、マネージャーとしてをバレー部に招き入れた。
西谷や田中は女子のマネージャーに緊張したのかいつもの騒がしさは一切なく、じっと彼女を眺めている。
俺達が練習をしている間、は清水先輩にマネージャー業務を教わっている。
久しぶりの彼女の姿に俺は何度も何度も視線を送ってしまう。
気にならないはずがない。
彼女の笑顔を見る度にホッとする。
「なぁ、縁下ってのこと好きなのか」
休憩中、そう言ってきたのは田中だった。
目を見開いて彼を見ると、タオルで汗をぬぐいながら
「だってずっとアイツの事見て笑ってるからさ」
「好き……とかそんなんじゃ……」
「そうなのか?てっきり好きなんだと思った」
「……中学の時の同級生だっただけだよ」
「ふぅん」
まだ何か言いたそうな田中だったけど、ちょうど休憩も終わり、俺達はまた練習を再開する。
練習に入ってしまえば、余計な私語は必要ない。
部活が終わった後彼女と並んで帰る。
その姿に西谷や田中、木下成田はとても羨ましそうな目でみてたり、3年生は微笑ましそうに見ていたり、1年生は興味のない視線や尊敬のまなざしなど様々あったけど、別にそう言う関係では一切ないと断言した。
二人並ぶ帰り道。
俺達の間は少しだけ距離がある。
「どうだった、マネの仕事。やっぱり大変?」
「うん、大変。でも清水さんがいたから平気。音駒の時は一人でやってたから大変だった」
「そっか」
にこりと笑えば笑い返してくれる。
それだけで十分だ。
「バイバイ、また明日」
「また明日」
また明日。
その言葉がとても嬉しい。
明日も彼女に会える。
突然姿を消すことなどもうない。