第1章 『Trade 2→9 』影山
好きだ。
好きだ。
昔から、こいつの目を見つめていると感情があふれだす。
いい加減、お前を俺のものにさせてくれ。
の背中に腕を回してしっかり抱きしめてから、ありったけの思いを込めて唇を重ねる。
高校のとき、2度触れた唇。
また触れることが出来ているのが嘘のようだった。
長い口づけのあと、頬を上気させたが涙目になって呟く。
「影山くん、私……」
「…………」
過去にキスした時と同じ。
また、泣かせた。
本当はいつも笑っていて欲しいし、笑わせたいのに。
何で俺はこいつを泣かせることしかできないんだろう。
「私ね…。影山くんみたいにすごいところなんかひとつもないよ。」
「は?」
「高校の時からね。影山くんの才能と一途さ、凄いなあって思いながらどこかで自分と比較してた。何にもない自分に自己嫌悪になったり。」
「…………」
「なんで、こんな何もない私のこと、影山くんはそんなにずっと好きでいてくれるんだろうね。」
「………何にもないとか、言うな。」
「え………?」
「俺の好きな女の悪口、言うんじゃねえって言ってんだよボケ!!!」