第1章 『Trade 2→9 』影山
「俺と結婚してくれ。」
「ええ?!!」
にとって俺の言葉は予想外だったのか、でかい声を出して驚いたように俺の顔を見つめている。
「ご、ごめん……ちょっと聞き間違えたかも…」
「聞き間違いじゃねえよ。」
お前を繋ぎ止めるには、これしか無えだろ。
もう我慢ならねえんだ。
他の男にお前を攫われる、あの時の気持ちは二度と味わいたくない。
に会えない空白の5年があったからこそ、俺は今、こんなことを平気で言えてしまっている。
「け、結婚て………え?え?」
は完全に混乱してしまった様子で、あたふたしている。
「今日。俺はお前に会うためだけにあそこに行った。」
「…………」
「お前が思ってるほど俺の中身は変わっちゃいねえし、お前への気持ちも変わってない。何度も忘れようとしたけど、無理だった。」
「影山くん………」
「俺にはしか、いねえんだよ。」